ある日の家族面談で、
中学3年生の息子(以下、P君)が
蝶々結びができないという相談がありました。
手先が不器用なピー君を心配したお母さんは、
何かトレーニングをした方がいいのか悩んでいました。
でも、実際にP君が蝶々結びを
しているところを観察すると、
お母さんが言われる様に手先の不器用さはあるものの、
それ以外にも別の原因があることに気付きました。
P君は蝶々結びの手順を理解していました。
でも、紐を輪っかにした状態でどこに通すべきか
分からず混乱することが多かったんです。
この混乱の原因は、見えない場所を想像することの
苦手さから来ているのではないかと仮説を立てた僕は、
動作の手順を動画撮影し、一つ一つの手順を、
視覚的に確認してみました。
動画を見てもP君の手順は安定するものの、
肝心の輪っかにした紐を通す工程に変化はありません。
「うーん…これだけではないんだなぁ…」
「何が足りないんだ?どんなヒントが必要なんだ?」
そう考えながら、改めてP君の動作を観察すると、
紐を一重に結ぶ工程で躓いてることが気になりました。
「あれ?P君って、そもそも紐で物を縛って固定する時の物と紐の関係性(使い方)をわかってるんかな?」
そこで、P君が物を紐で縛って固定するという概念を
理解してもらうために、棒に紐を結びつける練習を行うことにしました。
はじめP君は、紐を一重に結ぶどころか、
紐同士をコヨリの様に捻り合わせるなど、
結び付け方が全くわかっていない様子で大苦戦。
ですが、紐の位置や力をかける方向を、
自分で何度も確認していったP君は、
次第に紐を強く固定する方法を発見していきます。
その結果、彼はスムーズに一重結びができ、
それどころかあれほど苦労していた蝶々結びまで
すんなりクリアしてしまったんです。
蝶々結びができるようになったP君は、
とても嬉しそうに話してくれました。
「明日、放課後デイサービスの先生に報告しよ!」
と笑顔で言っていました。そして、
「これでサッカーのスパイクを一人で履ける!」とも。
蝶々結びが苦手というお子さんは沢山いると思います。
ですがその苦手の背景は、一人一人で違うはずです。
P君とのエピソードが、どこかで悩んでいるお子さんと
親御さんのヒントになれば嬉しいです。
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